色泣きとは、染色部分の色が周囲へにじみ出す現象
色泣きは、濃く染められた部分の染料が、雨や水分などの影響で白場や淡色部分へ移動し、にじんだように見える現象です。異なる色を組み合わせたプリントや、濃色と淡色が隣り合う生地で問題になることがあります。一般財団法人ボーケン品質評価機構は、染色部分から白場・淡色部への染料の泣き出しを「ブリード」として試験しています。
着物でも、濃い色の柄や地色が隣の白場へ広がると、柄の輪郭がぼやけたり、淡い部分に色が差したように見えたりします。色泣きは、単に元の色が薄くなる色落ちとは見え方も原因も異なります。
色泣きと、別の布へ色が移る「汚染」は異なる
色泣きでは、同じ布の濃色部分から、白場や淡色部分へ染料が移動します。一方、濃色の布から一緒に洗った別の布へ色が移る現象は、一般に「汚染」や「移染」として区別されます。どちらも染料が移動する点は共通しますが、色が移った先が同じ生地の中なのか、別の素材なのかで状態が異なります。
見た目だけで原因を決めるのは難しく、濡れたときに生じたのか、他の衣類と接触したのか、洗浄や保管の後に気づいたのかなど、状況を合わせて確認します。
なぜ色泣きが起きるのか
染料が繊維に十分固着していない場合や、濡れたことで染料が繊維から動きやすくなった場合に、色泣きが起きることがあります。染色後の洗い(ソーピング)が不十分で、繊維に固着しなかった染料が残っていることも要因の一つです。ボーケン品質評価機構は、ソーピング不足を色移りにつながる原因の一つとして説明しています。
ただし、色泣きの原因は一つではありません。染料の種類、繊維、染色や後処理の状態、濡れていた時間など複数の条件が関わるため、現象が起きたことだけで染色工程や洗浄方法のどこに問題があったかを断定することはできません。
雨・汗・水洗いなど、濡れる場面で表面化する
色泣きは、雨に濡れたときだけでなく、汗や水洗い、ウエットクリーニングなど、水分が関わる場面で表面化することがあります。濃色と淡色の組み合わせがある衣類では、濡れた状態で長く置かれた後に、色のにじみが目立つ場合もあります。
濡れた衣類を強くこすったり、色の出た部分を自己判断で洗い直したりすると、色の広がりや生地の傷みにつながることがあります。状態が分からないときは、乾かす前に追加の処置を重ねず、どの部分がいつ濡れたかを記録しておくと、原因を確認する手がかりになります。
補正できるかどうかは、色と生地の状態を見て判断する
色泣きが起きた後の修復方法は、染料がどこまで広がったか、元の色や模様がどの程度残っているか、生地や加工がどの状態かによって変わります。にじんだ染料を取り除く処置が可能な場合もありますが、周囲の色まで変化させる恐れがあるため、すべての品物で同じ方法が使えるわけではありません。
補正の前には、色が出た範囲だけでなく、濃色部分や白場の状態も合わせて見極めます。色泣きの跡があるからといって、必ず元どおりにできるとは限らず、素材や色の状態によっては残る場合があります。
まとめ
色泣きは、濃色部の染料が白場や淡色部へにじみ出す現象です。未固着染料や水分などが関係することがありますが、原因は一つではありません。色落ちや別の布への移染と区別し、濡れた状況と生地の状態を合わせて確認することが、適切な判断につながります。

